★相続人調査
相続人の調査
相続人は法律で決まっています。それを判断・証明するために故人が生まれたときから亡くなるまでの連続した戸籍を取得しなければなりません。
この戸籍取得・読み取りの作業は時間と労力がかかります。
ポイント
相続の多くの手続で故人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
複数通とっておくといいでしょう。
戸籍の取得方法
新しい戸籍から古い戸籍へと順番に取得してたどっていきます。
◆請求先
- ①本籍地の市区町村役場の窓口、または②郵送
- 申請書類や手数料は各自治体で異なるため事前に電話で確認しましょう。
ホームページでも確認できます。申請書をダウンロードできるようにしている自治体もあります。
◆請求方法
- ①窓口
- 申請書と手数料を払って請求します。※ 窓口で請求する場合は相続手続のために利用することを伝え、その役場にある被相続人記載の戸籍謄本等すべてが入手できるよう依頼すると手間が省けます。
- ②郵送
- 申請書、定額小為替(郵便局で購入)、返信切手を貼った返信用封筒、身分証明書(運転免許証やパスポート、保険証のコピー)を同封するのが一般的です。
ポイント
請求する役場に必要な戸籍が何通保存されているかは実際に調べてみないとわかりませんし、納付する定額小為替の額も変わってきますので、一度の申請で必要な戸籍謄本等をすべて取得できるとは限らず、何度か郵送でやりとりすることが考えられます。急ぐ場合は直接窓口に行くことをおすすめいたします。
戸籍のたどり方(戸籍調査の仕方)
1.故人の死亡の事実が記載されている縦型の戸籍を見る。(図1)
(一部の自治体ではまだ電子化されておらず横型縦書きの戸籍の場合があります。)
2.図1の戸籍事項欄を見て、いつこの戸籍が作られたか日付(編製日または改製日)を確認する。
サンプルでは改製日の平成10年3月31日。
3.次に一つ前の戸籍(改製原戸籍)を見る。(図2)
図2の消除日または除籍日と図1の編製日または改製日が同日であることを確認する。
サンプルでは消除日と改製日が同日。つまり連続していることが確認できる。
4.図2の戸籍事項欄を見て、この戸籍の作成日を確認する。
サンプルでは編製日の昭和29年2月9日。
5.編製前の戸籍(除籍謄本)を見る。(図3)
図3の太郎の身分事項欄を見る。図3の除籍日と図2の編製日が同日であることを確認する。サンプルでは昭和29年2月9日。
6.図3の戸籍事項欄を見て、この戸籍の作成日を確認する。
図2までとは様式が少々変わっており、戸主という言葉が出てきますが、ここでは気にせず、家督相続の届出をした日を確認する。サンプルでは昭和16年1月16日。
7.一つ前の戸籍を見る。(図4)
本籍地の左となりの枠内の、戸籍の抹消日と図3の家督相続による届出日が同日であることを確認する。サンプルでは昭和16年1月16日。
8.図4の戸主の「戸主トナリタル原因及ヒ年月日」欄でこの戸籍が作られた日を確認する。
サンプルでは明治37年8月10日。これで今回の調査対象である太郎が出生日(昭和4年5月6日)から死亡日(平成22年8月1日)までの戸籍がすべてそろったことになります。
※基本的には作成日と抹消日の照合を繰り返しますが、上記はあくまでもサンプルですので、実際まったく同じというわけにはいきませんのでご留意ください。
ポイント
- 新しい戸籍の作成日(改製日や編製日)と一つ前の戸籍の消除日・抹消日が一致していることに注目し、ほかの記載に惑わされない。
- 戸籍の作成日は戸籍事項欄を見る。きっかけとしては法律で戸籍のスタイルが変更された場合(改製と記載される)。婚姻や離婚、養子縁組等の身分変動があったとき(編製と記載される)。ほかの市区町村から本籍を移した場合(転籍と記載される)。
- 編製や転籍という文字をみつけたら、故人の身分事項欄をみる。欄の最後に「新戸籍編製による除籍」という記載があれば、それが除籍された日。一つ前の戸籍が除籍謄本である場合は戸籍事項欄を見ると除籍日を探せる。
- 相続人関係図を作成しながら戸籍をたどる。
漢字
昭和23年式以前の戸籍では下記の漢数字が用いられています。
- 壱・壹 → いち
- 朔 → ついたち
- 弐・貳 → に
- 参 → さん
- 拾 → じゅう
- 廿 → にじゅう
- 丗・卅 → さんじゅう
また、手書きであったため達筆・癖字でなんと書いてあるかわからない、略字や俗字で読み取ることが難しいものもあります。
その他、昔は養子縁組が今よりも高い頻度で行われており、父や母、続き柄の欄が空欄になっていることも珍しくはありません。故人が戸籍を転々としていた場合も戸籍の収集は大変かもしれません。
どんな相続人がいるか
ひとくちに「相続人」といっても、様々な立場があります。
配偶者、実子、非嫡出子、兄弟姉妹、半血の兄弟姉妹などです。
◆配偶者
同じ戸籍に入っている結婚相手のこと
◆実子
配偶者との間に生まれた子供
◆非嫡出子
婚姻関係にない女性が産んだ子供。
第一順位の相続権を有する。 但し、相続分は嫡出子の1/2。
なお非嫡出子が父親の相続権を主張するには、その前提に父の子としての認知を受けることが必要となる。
父の死亡後でも死亡後三年以内なら、認知調停を経て認知の訴え(強制認知)を提起することができます。
◆兄弟姉妹
同じ両親から生まれた人(全血)
◆半血の兄弟姉妹
父母の一方のみが同じである兄弟姉妹
◆胎児
相続の開始時点で被相続人の配偶者に胎児がいた場合には、胎児はその相続について既に生まれたものとみなされ、胎児が生きて生まれた場合には相続開始のときに遡って相続したものとみなされる。
◆養子
嫡出子として扱われる。実父母との自然血族関係の他に養親との法定血族関係をもつことになる。養子となった場合には養親だけに留まらず、養親の血族との間にも法定血族関係が生じる。
養子にいった子は実親の戸籍から抜けることになるが、親子の関係までが消滅するわけではないので、実親が亡くなると相続人となる。つまり、養子は養親及び実親両方の相続権を取得することになる。
◆特別養子
養親と養子の合意で成立する一般の養子と異なり、一定の特別な事情が認められる、原則として6歳未満の幼児について、養父母となる人の請求により家庭裁判所の審判によって養子縁組すること。
この養子縁組を行うには養親は満25歳以上の夫婦に限られるが養子縁組が成立した場合、養子となった子の実方の父母及びその血族との親族関係は終了し、養子となった者とその実親の親族との相互扶養の義務や相続関係も終了することになる。