★年金・保険等に関する手続き
健康保険に関する手続き
保険の対象者(被保険者)が死亡した場合には、脱退のための所定の手続きを取る必要があります。それにともない、保険証を返還することになります。
また、葬祭費が支給されることもあるため、請求手続きを取る必要があります。
国民健康保険
◆脱退
14日以内に届出をします。その際保険証を返還します。自治体によっては手続きの際に印鑑が必要になる場合もあります。国民健康保険から脱退した場合、国民健康保険の加入資格がなくなった日を含む月の前月分までの国民健康保険税を納めることになります。
◆葬祭費
国民健康保険に加入していた本人または扶養家族が死亡した時は、3万円~7万円程度を「葬祭費」としてもらう事ができます。手続き先は役所の国民健康保険課ですが、すでに役所の戸籍課に死亡届が出ている事が前提条件です。手続きに必要な書類等は保険証か年金手帳、印鑑、振込先口座番号です。自治体によってはその他埋火葬許可証等が必要になる場合があります。
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)
◆脱退
5日以内に勤務先へ健康保険の保険証の返納、健康保険者資格喪失届を出します。さらに遺族が国民健康保険に加入する場合は、14日以内に市区町村に届け出をします。
◆埋葬費
後期高齢者医療制度に加入していた本人が死亡した時は、2万円~5万円程度を「葬祭費」としてもらう事ができます。葬儀費用の領収書、請求書、会葬礼状など(喪主の方の氏名が記載されているもの)いずれか一点、故人の後期高齢者医療被保険者証(保険証)預金通帳など喪主の方名義の金融機関振込先口座のわかるもの、喪主の方の印鑑(認印可)等が必要になります。
健康保険
◆脱退
14日以内に届出をします。その際保険証を返還します。自治体によっては手続きの際に印鑑が必要になる場合もあります。
◆埋葬費
後健康保険の被保険者が死亡した場合、埋葬を行う人に対して市町村から埋葬料が支給されます。本人が死亡 の場合には「埋葬料」が、扶養者が死亡の場合には「家族埋葬料」が、それぞれ支払われます。故人が亡くなった日から2年以内に手続きをしないと支払われないので注意が必要です。
勤務先で手続きをしてもらえない場合には、所轄の社会保険事務局で手続きを行います。手続きに必要な書類は健康保険書、埋葬許可証か死亡診断書のコピー、印鑑、振込先の口座番号が必要になります。また、業務上もしくは通勤途上の傷病で死亡の場合は労災保険から「葬祭料」が支給されます。給付金額は、315,000円+給付基礎日額の30日分または給付基礎日額の60日分の多い方となります。
申請先は所轄の労働基準監督局です。埋葬料を受け取る人がいないような場合、例えば一人住まいで、遠隔地に住む親戚が葬儀を行ったような場合には、その親戚が埋葬料の範囲内で受け取ることができます。
共済組合
◆脱退
すみやかに届け出ます。
◆埋葬費
組合員が公務によらないで死亡したときは、被扶養者に「埋葬料」が、被扶養者が死亡したときは、組合員に「家族埋葬料」が支給されます。また、組合員又は年金受給者が死亡したときは、一定要件に該当する遺族には「遺族共済年金」が支給されます。埋葬料を受け取る人がいないような場合、例えば一人住まいで、遠隔地に住む親戚が葬儀を行ったような場合には、その親戚が埋葬料の範囲内で受け取ることができます。
船員保険
◆脱退
死亡した日の翌日に資格がなくなります。事業主が年金事務所に届出をすることになります。
◆埋葬費
被保険者が死亡したときは、葬祭を行った家族(被保険者に生計を維持されていた人であれば、被扶養者でなくてもかまいません。)に葬祭料が支給されます。また、葬祭料にはあわせて葬祭料付加金が支給されます。なお、被保険者であった方が資格を喪失した後3ヶ月以内に職務外の事由により死亡したときも支給されます。
葬祭料は一時金として5万円が支給されます。ただし、死亡した被保険者に家族がいないときは、葬祭を行った人に葬祭にかかった費用(上限5万円)が葬祭料として支給されます。葬祭料に併せて、付加金として葬祭を行った家族に、被保険者の資格喪失当時の標準報酬月額の2ヶ月分から葬祭料の額を控除した額が支給されます。
家族がいない場合は葬祭を行った人に葬祭にかかった費用(標準報酬月額の2ヶ月の範囲内)から葬祭料の額を控除した額が支給されます。
以前に加入していた健康保険がある場合
現在加入の国民健康保険以前に、加入していた健康保険がある場合、その健康保険から葬祭費に該当するものが給付されることがあります。
- 死亡前3ヶ月以内にその健康保険に被保険者として加入していた
- 死亡時または死亡前3ヶ月以内に、その健康保険から傷病手当金の継続給付を受けていた
- 死亡時または死亡前3ヶ月以内にその健康保険から出産手当金の継続給付を受けていた
上記の場合に、給付を受けることができる場合があります。各健康保険に問い合わせてみましょう。
ポイント
- 一定の期間内に請求をすれば葬祭費や埋葬費をもらうことが出来ます。
- 保険契約によっては、本人が死亡した場合や、本人以外の家族が死亡した場合にも埋葬費をもらうことが出来る。
- 各保険で手続きが異なるので、各機関に問い合わせをしましょう。
公的年金に関する手続き
年金を受けている人が死亡したときは、死亡から10日以内(国民年金は14日以内)に年金受給権者死亡届を社会保険事務所に提出します。その際の必要書類は、年金証書、死亡診断書となります。
また死亡した人に支払われるはずであった年金が残っているときは、あわせて未支給年金保険給付請求書を提出します。未支給の年金は故人と生活を共にしていた遺族が受け取ることができます。
なお、遺族が遺族年金を受けられるときには遺族給付裁定請求書を提出します。
(死亡届の用紙は、未支給年金保険給付請求書と3枚綴りになっていて、未支給の年金がない場合は、2枚目の死亡届だけ記入することになります。)
ポイント
- 遺族が遺族年金を受けられるときには遺族給付裁定請求書を提出します。
- 死亡届の用紙は、未支給年金保険給付請求書と3枚綴りになっていて、未支給の年金がない場合は、2枚目の死亡届だけ記入することになります。
遺族が年金を受け取ることが出来る場合
遺族が年金を受け取ることが出来る場合は以下のものがあります。
1.遺族基礎年金
◆受給要件
保険の対象者(被保険者)または老齢基礎年金(国民年金に加入し、所定の年齢になってから貰う年金のこと)の資格期間を満たした人が死亡したとき。
- 遺族基礎年金
-
- 国民年金の加入者
- 国内居住の60歳以上65歳未満の人
- 老齢基礎年金の受給資格期間満了者または受給権者
- ※ 1, 2については保険料納付要件が必要。
- ※ 保険料納付要件は、死亡日のある月の前々月までに国民年金加入期間があるときは、その期間のうちの3分の2以上が保険料納付済期間及び免除期間であること。なお、これを満たせないときは直近の1年間に保険料の未納がないこと。
◆対象者
故人によって生計を維持されていた1.子のある妻と2.子
※ 子とは、18歳になってから最初の3月31日を迎えていない子、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者。死亡時に胎児であった子についても出生すれば対象となる。
◆年金額
792,1900円+子の加算(※年金額・加算額はいずれも平成22年度額)
子の加算は、第1子・第2子は227,900円、第3子以降は75,900円。
2.遺族厚生年金
◆受給要件
- 遺族厚生年金
-
- 厚生年金保険の加入者
- 加入中の病気や怪我で、退職後に初診日から5年以内にある人
- 1級または2級の障害状態にある障害厚生年金の受給権者
- 老齢厚生年金の受給資格期間満了者または受給権者
※ 1, 2については保険料納付要件が必要。
※ 保険料納付要件は、死亡日のある月の前々月までに国民年金加入期間があるときは、その期間のうちの3分の2以上が保険料納付済期間及び免除期間であること。なお、これを満たせないときは直近の1年間に保険料の未納がないこと。
※ 2, 3を短期要件、4を長期要件といい、年金額などが異なる。
◆対象者
非保険者の死亡時に、被保険者によって生計を維持されていた者で下記の者が対象となります。
- 遺族基礎年金の支給の対象となる遺族((1)子のある妻(2)子)
- 子のない妻
- 55歳以上の夫、父母、祖父母(実際の支給は60歳から開始)
- 孫
※ 子・孫に関しては、被保険者の死亡時に18歳未満か、18歳になってから最初の3月31日を迎えておらず、また20歳未満で1級・2級の障害があり、いずれも結婚をしていないことが条件となっている。
上記受給を受けられる順位
- 第一順位
- 妻、55歳以上の夫、子(親に支給されている間は支給されない。)
- 第二順位
- 55歳以上の父母
- 第三順位
- 孫
- 第四順位
- 55歳以上の祖父母
◆年金額(平成21年度)
報酬比例部分の年金額は、Aの式によって算出した額となります。
なお、Aの式によって算出した額がBの式によって算出した額を下回る場合には、Bの式によって算出した額が報酬比例部分の年金額になります。
※ 上記支給要件の①及び③に基づく遺族厚生年金では、被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
※ 上記支給要件の②に基づく遺族厚生年金の場合、計算式の1000分の7.125及び1000分の5.481(物価スライド特例水準の計算式では1000分の7.5及び1000分の5.769。以下「報酬比例部分の乗率」といいます。)については、死亡した方の生年月日に応じて経過措置があります。
◆中高齢の加算について
次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、594,2000円(年額)が加算されます。これを、中高年の加算額といいます。
- 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る。)が、子が18歳到達年度の末尾に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
◆経過的寡婦加算について
次のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算されます。
- 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳に達したとき
- 昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(上記②の支給要件に基づく場合は、死亡した夫の厚生年金の被保険者期間が20年以上(または40歳以降に15年以上)ある場合に限ります)
経過的寡婦加算の額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢の加算の額と同額になるよう決められています。
3.寡婦年金
被保険者が夫で、その保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上ある場合に、夫によって生計を維持されてきた、婚姻関係が10年以上継続している妻に対して、60歳から65歳までの間支給されるものです。
ただし、夫が障害基礎年金の受給権を持っていた場合や、老齢年金の支給を受けたことがある場合、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は請求できません。また、60歳から65歳まで支給されますが、他の年金を受給している場合はどちらかを選択する必要があります。寡婦年金と死亡一時金の両方を受けられる場合は、どちらかを選択する必要があります。
4.死亡一時金
死亡一時金は、被保険者の保険料納付済期間が3年以上ある場合に、一定の遺族へ支給されるものです。
死亡者が老齢基礎年金か障害基礎年金の給付を受けていた場合と、遺族基礎年金を受けることが出来る者がいる場合には支給されません。
また死亡一時金を受けることのできる遺族の順番は、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹で、死亡時に生計をともにしていた者となります。
ただし、子が遺族基礎年金の受給権を取得して、生計を同じくする父又は母があることにより遺族基礎年金が支給停止されているときは、死亡した者の配偶者に死亡一時金が支給されます。
各種の名義変更
株式や預貯金も、名義変更をしなければ権利を行使することができません。その他の財産も、忘れずに名義変更などの手続きをしましょう。