★遺言書の書き方
遺言書の方式
ひとくちに遺言といっても、さまざまな種類の遺言があります。
また、正しい形式で作成をしないとせっかくの遺言が無効になってしまいます。どの方式の遺言を残すのがあなたにとってベストなのか見ていきましょう。
◆普通方式
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
◆特別方式
危急時遺言
- 死亡危急時遺言
- 難船危急時遺言
隔絶地遺言
- 伝染病隔絶地遺言
- 船舶隔絶地遺言
遺言には普通方式と特別方式の遺言があります。そのなかでもよく使われるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。特別方式の遺言については、かなり特殊であるため、割愛いたします。
自筆証書遺言
◆書き方
- 1.全文自筆
- 全文を自筆します。ワープロや、パソコンで作成することは出来ません。自分で書く必要がありますので、高齢や病気により字がうまく書けない場合などに添え手をしてもらうと、無効になってしまう可能性があります。
- 2.日付
- 日付の記載がないと遺言は無効です。「〇年〇月吉日」のような記載の仕方もできません。
しかし、「〇歳の誕生日」「還暦を迎えた年〇月〇日」等、日付が特定できるような場合には、そのような記載も可能です。 - 3.氏名
- 遺言者を特定するために記載しますので、ペンネームなどでも可能です。
- 4.押印
- 印鑑に指定はありませんので、認印や拇印でも可能です。
自筆証書遺言
◆自筆証書遺言 | サンプル | (PDF:14KB) |
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公正証書遺言
◆作成の仕方
公正証書遺言は公証役場で公証人に遺言の趣旨を口頭で述べ、それに基づいて公証人が作成する遺言です。高齢や病気で字を書くのが難しい人でも作成できます。
また、遺言書の原本が公証役場で保管される為、偽造や変造の心配もありませんし、遺言書の検認も必要ありません。ただし、公正証書遺言の作成には、2名以上の証人が必要で、公証人に対する手数料も発生します。
◆公正証書遺言の必要書類
- 印鑑証明書(取得後3ヶ月以内)、実印
- 遺言者と相続人の関係を示す戸籍謄本
- 第三者に遺贈する場合は、相手の住民票(氏名・生年月日・住所・職業を書いたメモでも可能)
- 不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書
- 預貯金の通帳のコピー(または金融機関名)
- その他相続財産を特定できる資料
- 遺言の内容を記載したメモ
- 証人2人と遺言執行者の氏名・住所・生年月日・職業を記したメモ
- その他公証役場から要請された資料(各公証役場に問い合わせましょう)
◆証人になれない人
- 未成年者
- 公証人の配偶者・4親等内の親族
- 推定相続人とその配偶者・直系血族
- 公証役場の関係者
- 受遺者とその配偶者・直系血族(ご自身で証人を用意できない場合は、公証役場が信頼の置ける人を紹介してくれます)
公正証書遺言の作成にかかる費用
目的価額 | 公証人手数料 |
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100万円以下 | 5,000円 |
100万円超~200万円以下 | 7,000円 |
200万円超~500万円以下 | 1万1,000円 |
500万円超~1000万円以下 | 1万7,000円 |
1,000万円超~3,000万円以下 | 2万3,000円 |
3,000万円超~5000万円以下 | 2万9,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 4万3,000円 |
1億円超は、3億円までは超過額5,000万円ごとに1万3000円を追加。その後10億円までは同1万1,000円を追加。10億円超は、同8,000円を追加。
価額算定不能の場合 | 1万1000円 |
総額が1億円未満の場合、遺言加算として上記の手数料に1万1000円が加算される
- 相続人や受遺者がそれぞれ受け取る財産の価額について手数料を計算し、合算する
- 遺言の内容によって追加料金がかかることがある
- 公証人が自宅や病院などに出張して作成する場合は、通常の手数料の1.5倍かかるほか、日当2万円(4時間まで1万円)と交通費がかかる
- 公証役場に証人を紹介してもらう場合、別途手数料がかかる(通常1万円程度)
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言の存在を明確にしながら、その内容を秘密にできる遺言書です。秘密証書遺言は自筆以外でも可能で、代筆やワープロでの作成もできます。ただし、署名は自筆でしなければないりません。
遺言しようとする人は、自分でその証書を封筒に入れ、封をして、証書に用いたものと同じ印章を使って封印します。そして、公証役場に行き、公証人1名と証人2名以上の前に封書を提示して、自分の遺言書であること、遺言書の筆者の氏名・住所を申述します。その後、公証人がその証書を提出した日付と遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者や証人とともにそこに署名して押印します。
このように、秘密証書遺言は公証役場において封緘する手続きであるため、遺言の内容としての遺言文書などについては、全て遺言者自らが作成しなければなりません。
原本は、遺言者が自分で保管しなければなりません。遺言者の死後に、相続人が家庭裁判所で遺言書を開封し、検認を受けることになります。
このように秘密証書遺言には要件がいくつかあり、この要件を欠くと、秘密証書遺言としての効力を有しませんが、自筆証書遺言としての要件を満たしていれば、自筆証書遺言として効力を有します。その際注意すべき点は、秘密証書遺言は手書きでなくてもかまいませんが、自筆証書遺言は自筆でする必要がありますので、秘密証書遺言を書く際も、自筆で書いておくことが望ましいでしょう。