★臨終の場合の対処
「末期の水(まつごのみず)」をとる
これは、死にゆく者に対し、死の現場に立ちあった者により死者の唇を水で湿らすことをいいます。「死に水をとる」ともいいます。お盆に水を入れた茶碗と新しい筆もしくは箸の先に脱脂綿を白い布でくるんで巻きつけたものを用意し、茶碗の中の水に浸して湿らせていきます。末期の水をとる順番は、最初に喪主、そのあと血縁の近い者、友人の順とされています。
これはあの世に行って喉が渇かないようにという思いがこめられたもので、かつては臨終の直前に行われておりましたが、現在は臨終のあとに行われます。末期の水をとる儀式は、生きていた人との別れの儀式であるので、この時点では拝んではいけないとされています。末期の水をとるための道具は、多くの場合病院がすべて用意してくれます。
これには地域性があり、水を入れた茶碗に樒の葉や鳥の羽根を浮かべるところもあります。
清拭(せいしき)と死後の処置
体内に残った内容物を排出させた後、顔や首、手、足をアルコールに浸した脱脂綿で拭き清め、体液がもれないように口、鼻、耳、肛門に脱脂綿を詰めたり紙おむつをあててT字帯に下着を装着させたりします。男性の場合は髭をそり、女性の場合はおしろい、頬紅、口紅など死化粧を施します。病院で亡くなった場合、看護師等医療関係者がるのが一般的です。自宅で亡くなった場合は訪問看護師や葬儀社がしてくれます。
医師の死亡診断書
死因が明らかに継続的治療を行ってきたものである場合には医師または歯科医師は死亡診断書を作成します。そうでないと予測される場合には、医師による検案が行われ、死体検案書というものが作成されます。検案の結果、異状死であると判断された場合には、24時間以内に所轄の警察署に届出をしなければならず、その結果必要があると認められた場合には司法解剖・行政解剖が行われることになります。死体検案書の役割は死亡診断書と同じです。
死亡診断書の料金は、病院によって自由にきめることができるため、数千円から数万円とその幅は広くなっています。
決めなくてはいけないこと
- 喪主
- 葬儀を行う場所
- 遺体の搬送先
- 依頼する葬儀社
- 寺への連絡
- 遺影
- 予算
葬儀社に連絡をとる
葬儀の手配をします。国民生活センターの調べによると、葬儀サービスに関する相談件数は年々増加しています。葬儀社側もビジネスですから、会場の大きさ、祭壇のスケール、花輪の数、などあわただしく決めるような状況におかれることが多いようです。何事も冷静に判断することが困難な心境ですが、下記ポイントに留意し、周囲の協力も得てきちんと見積りを取り、納得のいくよう故人を送り出してあげましょう。
- 金額に関してあいまいなことを言わない
- 見積りの依頼を快く受けてくれる
- 金額の内訳が明瞭である
遺体の移送先を決定
遺体の搬送は葬儀社が行います。この時点で葬儀社を決定していない場合、搬送してくれた葬儀社に決まることが多いので、やはり葬儀社の検討は早めに行いましょう。病院からご自宅へは、24時間移送してくれるのが普通です。移送先がお寺などである場合、夜中は受け入れてもらえないのでそれまで病院の霊安室で預かってくれます。遺体を預かってくれる葬儀社もあります。
死亡届提出
死亡届の提出も必須です。死亡診断書(死体検案書)の発行により物理的にこの世を去ったことになり、死亡届の提出により社会的にこの世を去ったことになります。死亡届の用紙は、右半分が死亡診断書(死体検案書)、左半分が死亡届となっています。死亡届を提出すると引き換えに火葬許可証が発行されます。自治体によっては同時に(埋)火葬許可申請書の提出を求めるところもあります。
火葬許可証には、火葬場所を記入しますので火葬場所を決めてから死亡届を出しましょう。また火葬が終わると火葬許可証の裏に印を押され、それが埋葬許可証となります。
◆届け出る人
親族、同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、後見人等が届出する場合はその資格を証明する登記事項証明書等が必要です。
◆提出先
亡くなった方の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場の戸籍課、多くの市区町村で土日や夜間の受付を行っていますので、お問合せください。斎場事務所では受け付けておりませんのでご注意ください。
◆提出時期
死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは、その事実を知った日から3か月以内)
◆手数料
無料
◆持参するもの
- 死亡診断書または死体検案書・・・1通(これらの書面を入手できないときは、届出先の市区町村にお問合せください。)
- 届け出る方の印鑑(認印可、シャチハタ不可)
◆届出書
全国共通です。各市区町村で用紙を入手してください。
注意点
死亡後24時間以内に火葬したり、許可を受けずに火葬した場合、「墓地、埋葬等に関する法律」第3条及び第5条違反となり、1,000円以下の罰金または拘留もしくは科料の刑が定められています。