★葬儀の準備 その1
遺体の安置
遺体の搬送先では北枕か西枕にして安置します。宗派によっては守り刀としてふとんの上に刃物を置きます。守り刀は武士の死者がその枕頭に刀を置いた名残ともいわれますが、一般には遺体の死臭をかいでそれをねらう悪鬼を防ぐ為に行われた風習です。
死装束を着せる
納棺に先立ち、死後硬直が始まる二時間以内に故人の衣類を着替えさせます。死装束は故人を浄土へ旅する僧侶や巡礼になぞらえたもので、経帷子を左前にして着せ、手甲や足袋などをつけます。頭陀袋には六文銭を入れて三途の川の渡し賃をもたせてあげましょう。
経帷子は、葬儀社が準備してくれます。近年では浴衣や愛用していた服やドレスを着せることが多くなったようです。なお、浄土真宗ではもともと経帷子を着せることはありませんでした。浄土真宗では死後すぐに極楽浄土にいけるとされているからです。
神式やキリスト教式では特に衣服は決められていません。
喪主・葬儀委員長の決定
葬儀の最高責任者であり、普通は故人の配偶者がつとめます。配偶者がいなければ同姓の子がつとめます。葬儀委員長は地元の自治会長や、亡くなった方が会社の現役であったならば会社関係のしかるべき人に頼まれたほうがよいでしょう。葬儀が始まったら喪主は基本的にひたすら弔問客への挨拶をします。
葬儀全体の事は葬儀社の人に任せます。喪主は弔問客の出迎えや見送りはしません。遺体が安置されたら親族に訃報を伝えましょう。
注意点 喪主と施主のちがい
喪主は葬儀を執行する当主のこと、施主は法事又は葬儀などを行う責任者のこと。
通常は喪主イコール施主となりますが、縁者がいないため友人などが喪主役をつとめる場合は施主といい、また社葬の場合会社が施主、喪主は遺族になります。
宗教・宗派の確認
国内では仏式が主ですが、故人が無宗教の場合は生家や婚家の宗教に従って行うこともあります。日本での主な宗教の葬儀のおおまかな流れは次のとおりです。
◆仏式
通夜 ⇒ 葬儀・告別式 ⇒ 初七日法要
◆神式
通夜祭り ⇒ 葬場祭 ⇒ 火葬祭 ⇒ 帰家祭
◆キリスト教
通夜の集い ⇒ 葬儀ミサ ⇒ 祈り・聖歌合唱 ⇒ 祈り
◆家族葬
身近な人だけで行う。首都圏では約50%が家族葬だといわれる。家族葬にする場合は親族に事前に同意を得ておくのが無難。周囲には家族葬である旨伝えれば納得してもらえる。
◆直 葬
とにかくお金をかけずに火葬のみ行う。
◆一日葬
通夜を行わない。
◆密 葬
秘密裏に葬儀を行い、そのあと生きている人たちの好意で偲ぶ会が催されることが多い。また、近年無宗教葬というものも増えており、祭壇には神も仏もなく故人の生前の写真が飾られているというもので、その演出方法も実に多様です。
◆音楽葬
故人にちなんだものを花祭壇にあしらい、お経の代わりに故人が好きだった音楽をかける。
◆樹木葬
墓地として認可された場所に遺骨や骨壷を埋め、墓石のかわりに樹木を植える。
◆地球葬
いわゆる散骨。山や海、空に散骨。クルーザーやセスナ機でおこなう。
【コラム】 散骨
北海道長沼町では、2005年に、近隣農地で生産される農産物に風評被害が広がるとの理由で散骨を規制する条例が制定されました。これに対し、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が、憲法で保障された基本的人権の「葬送の自由」を否定するものであるとして、条例の廃止を求める請願書を提出しましたが、廃止の方向にはなりませんでした。
散骨は、禁止する地域もあり、そこで散骨すると死体遺棄罪に問われる可能性もありますが、近年の葬儀に対する多様性に対応し法務省は節度をもって行われる限り違法性はない、と散骨に対し寛容な姿勢を示しています。
葬儀規模の決定
予算を決定します。故人の社会的な地位、交際範囲、喪主の社会的地位も考慮に入れて決定します。