★相続人の中に行方不明者がいる
相続人の中に行方不明者がいる
遺産分割協議は、相続人全員が話し合いに参加する必要があります。 行方不明の相続人がいるからといって、その人を抜かして話し合いをまとめても、その話し合いは無効となってしまいます。 だからといっていつまでも遺産分割ができない状態が続くのは困ります。
そこで、遺産分割協議をするために、行方不明の人(不在者)の代わりに話し合いに参加することが出来る人を選ぶ必要があります。それが不在者財産管理人です。
不在者管理人は、家庭裁判所に選任してもらうことを請求しなければなりません。
◆7年以上生死が不明
7年以上生死不明の状態が続いている相続人がいる場合は、家庭裁判所に対し、失踪の宣告をするよう請求することができます。
家庭裁判所から失踪宣告がなされると、最後に生存が確認されたときから7年間経過した時点で死亡したものとみなされますので、行方不明の相続人は既に死亡したものとして遺産分割協議を進めることができます。
不在者財産管理人の選任
不在者財産管理人は、不在者の財産を管理するために選ばれるものなので、職務を適切に行えることが必要です。
そのため、不在者との関係や利害の対立がないかなどを考慮して、適格性が判断され、場合によっては、弁護士、司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
◆不在者管理人の権限
不在者の財産の管理、維持。
行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加することも不在者財産管理人の重要な役割になります。 なお、遺産分割協議をする権限は、改めて家庭裁判所から与えてもらう必要があります。
◆申立てできる人
所在不明者の配偶者や相続人に当たる者、故人に対する債権者などの利害関係者、検察官。
◆申立先
不在者がかつて住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所住所がわからない場合は不在者の最後の住所地の家庭裁判所。 家庭裁判所は、申立書や所在不明となった理由などが分かる資料を確認した上で、申立人から事情を聴いたり、不在者の親族に問い合わせ、不在者財産管理人の選任をします。
ポイント
・不在者財産管理人を選任するだけでは、遺産分割協議を進めることはできません。家庭裁判所から不在者に代わって遺産分割を行う権限を与えてもらう必要があります。
・不在者財産管理人の職務は、不在者が現れたとき、不在者に失踪宣告がされたとき、不在者が死亡したことが確認されたとき、不在者の財産がなくなったとき等まで、財産管理の職務は続き、遺産分割協議が終わったときに終わるというものではありません。
不在者財産管理人選任の申立の必要書類
- 不在者財産管理人選任の申立書
- 申立人・所在不明者の戸籍謄本
- 財産管理人候補者の戸籍謄本と住民票
- 不在の事実を証する資料(不在者の戸籍附票など)
- 利害関係を証する書面(戸籍謄本《全部事項証明書》、賃貸借契約書写し、金銭消費貸借契約書写し等)
- 財産目録(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類《通帳写し、残高証明書等》等)
- 収入印紙800円+連絡用の郵便切手
(郵便切手については申立てする家庭裁判所へ総額と内訳を確認する必要があります。)